『干しナマコ（乾燥ナマコ）』とは、天日干しにして水分を抜き、乾燥させたナマコのことです。

中国の経済発展により健康志向の富裕層が増え、滋養強壮に良いものとして干しナマコの需要が増加しています。しかし、ナマコの水揚げ量が減ってきている影響で供給が追いつかず、価格が高騰しているというのが現状です。

ナマコ養殖の研究も進んでいるものの、技術が十分に確立されているとはいえないので、供給が足りない状態はまだ続きそうです。

干しナマコは高級中華料理の食材によく使われます。中国のお祝いの席では、見た目が美しく人気が特に高い北海道産のナマコを使った姿煮が出されることが多いようです。

日本では干しナマコはあまり馴染みがないものですが、青森・東京・岡山・長崎などでは正月にナマコ酢を食べる風習があるので、生のナマコを身近に感じている地域はいくつかあるようです。

滋養強壮に良いと言われるだけあって、ナマコにはビタミンB群・ビタミンE・ナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウム・鉄・亜鉛・アミノ酸・サポニン・ヨウ素などの栄養素が豊富に含まれています。

中国では慢性肝炎の治療薬としても使われ、動脈硬化予防、便秘の改善、利尿効果もあるとされる他、肌や皮膚に良いといわれるコラーゲンやコンドロイチンなども含まれています。

ビタミンB群には糖質の分解を助ける働きがあり、糖尿病や肥満症などの生活習慣病を予防します。また、それだけでなく髪や皮膚の材料にも使われます。

マグネシウムはストレスを軽くしてくれたり骨を形成したりする成分で、カルシウムの吸収も助けてくれます。

ナマコには細かくて肉眼では見えないほどの小さい骨があるので、そのまま食べるだけで骨のカルシウムを摂取することができます。

アミノ酸は脂肪を分解するリパーゼという酵素を活性化し、疲労回復や免疫力を上げてビタミン・ホルモンを作る材料になったりタンパク質の合成に使われたりもする成分です。

サポニンには体内の脂肪が酸化するのを防ぐ抗酸化作用があり、悪玉コレステロールを減らします。その作用が心筋梗塞・動脈硬化などの予防に繋がるのでは、と期待されています。

ヨウ素は甲状腺ホルモンの構成成分で、十分に摂取できると甲状腺ホルモンをしっかり分泌できるようになり、体重増加の抑制や疲労回復になります。

コンドロイチンは血液を固まらないようにし、心筋梗塞・動脈硬化・狭心症などを予防します。炎症を抑える働きもあって、関節炎・皮膚炎などが改善される効果があるということです。

北海道産の干しナマコは荒い波の中でじっくりと時間をかけて成長することでイボがしっかりと6列に発達、見た目が美しくなります。豊富な栄養を含んだ餌を多く摂っているので味と食感が良いのはもちろん、栄養価も高いため『黒いダイヤ』と呼ばれ、希少な最高級品として扱われています。

青森県産、特に陸奥湾のナマコは肉厚で柔らかさとおいしさに定評があり、高級食材として扱われるほか、漢方薬の材料としても中国や香港に輸出されています。